
これは技術イベント・カンファレンス運営のノウハウ Advent Calendar 2025の8日目の記事になります。
最初に
カンファレンスやイベントのスタッフTシャツ、場合によっては登壇者等の他のロールの肩のTシャツも作るということがあると思います。
その際に、気をつけるべきポイントや、決めるべきことについてまとめました。
考えるべき軸
スタッフTシャツをわざわざ作る場合、きっと期待されている機能があるはずです。
作ったあとに、考慮不足があるとせっかく作ったのに残念な思いをすることになるので、事前にスタッフ間で下記のような合意形成をしておくことをおすすめします。
- 目立つ度合い
- 着心地
- クォリティ
- メンテナビリティ
- 費用
- 発注におけるオペレーション
目立つ度合い
スタッフTシャツなので、おそらく視認性が高いことは求められると思います。
視認性で言うと、一般の参加者との区別や、ブースを出してくれているスポンサーのTシャツ等との区別がつかなければなりません。会場によっては、壁や空間の色とのコントラストということも考えなければなりません。
すでにそのカンファレンスやイベントのブランドカラーみたいなものがある場合は、そのカラーを踏まえた上で、色を決定しなければならないということもあります。
あまり派手な色だとカンファレンスやイベントが終わったあとに着づらいという意見の方もいます。基本的には、カンファレンスやイベント側(特定の誰かというより会社で言うところの法人格みたいなもの)が用意するものだと僕は解釈しているので、当日の機能優先でも良いとは考えているのですが、一方ではコアスタッフもスポットスタッフも基本ボランティアベースで行っていただくことが多い中で、お返しできる価値の1つだという考え方も十分理解できます。
イベント後も来てもらうことによって、そのカンファレンスやイベントを思い出してもらえたり、ひいてはブランド醸成に寄与するという面もあります。
着心地
着心地は単に「軽い/重い」とか「肌触りが良い/悪い」という視点もありますが、「汗じみが目立ちやすい/目立ちにくい」「透けやすさ/透けにくさ」「身体のフォルムが出やすい/出にくい」というポイントが問題になることが多いです。
汗じみ
素材、厚さ、色の観点で見る必要があります。
グレーのような色は目立ちやすく、黒や白だと目立ちにくいです。彩度が高くはっきりした色のものも目立ちづらいものが多く、薄い色やトーンを抑えた色というのは、汗じみが目立ちやすい傾向があります。
また素材で言うと、化繊のものが目立ちづらい傾向が高く、綿やウールのものは目立ちやすい傾向になります。
汗で言うと暑い季節は「塩」の問題もあります。こちらは暗い色は基本的に目立ってしまう傾向があります。
透けやすさ
透けやすさは主に厚さで解消できることが多いです。
ただし素材や色によってはかなり厚くしなければ対応できないケースもあり、逆に素材や色によっては薄くてもあまり透けないという場合もあります。
身体のフォルム
これは厚さと生地の硬さ、伸縮性によって上手く隠されたり、はっきり出たりします。
クォリティ
単に良い素材、良いインク、良いデザインみたいなものもクォリティに含まれますが、やはりぱっと見の印象みたいなのも馬鹿にできません。
白いTシャツは、仮に他の色と同じ値段であっても、クォリティや高級感を出すには、ひと手間必要になることが多いです。
スタッフTシャツだけ用意する際にはあまり問題にはなりませんが、登壇者Tシャツや特別なTシャツを併せて用意する場合には、その相手との関係性も含めてクォリティや機能はケアしなければなりません。
メンテナビリティ
1日のイベントならあまり気にする必要はないかもしれませんが、複数日に渡るカンファレンスの場合は、論点になってくるかもしれません。
複数日に渡る場合には、初日のあとに交流会があったりして帰るのが遅くなり……翌日もまた早朝から集まらなければならないということも多いです。
また一般的にTシャツはラフに扱って良いものという認識があるかもしれませんが、オリジナルプリントをしたものの多くは、乾燥機が不可とされることも多いです。
私の場合は、帰ったら風呂に入る前に洗濯機にしかけて、浴槽に除湿機を持ち込んでそこで干せば朝には乾いているという作戦を使いますが、そういう設備がないという方のほうが多いのではないでしょうか。
予算が許すならば、夏場の連日スタッフは複数枚渡すという手もあるかもしれません。
費用
費用は、納期、枚数、生地の素材、生地の厚さ、生地の色、プリント方法、プリント箇所、個別包装するか?しないか?、特別サイズなのか?みたいなところで決まってきます。
目立つ度合いの観点で決めた色、着心地のところでの透けや汗じみの対策の結果、それが値段に跳ね返ってくることも多いです。
納期に関しては、早ければ早いほど良いというわけでもありません。先方で倉庫に保存する期間を短くするために、適切なタイミングでの生産になることも多いので要注意です。
発注におけるオペレーション
イベント直前、会場に直接送ってもらう前提で、Tシャツ屋さんの良きタイミングで作ってもらうというケースも多いと思いますが、その場合はミスが許されません。
また版下やサンプルデザインを送った結果、Tシャツ屋さんの方からデータ不備を指摘されて出し戻しがあり、短納期の費用にあがってしまうということもあります。
可能であれば、どこかのオフィスか、誰かの家に早めに受け取り検品、不備があった段階でリカバリーができるタイミングで発注できる方が良いです。
具体的なノウハウ
良かったTシャツ
「関数型まつり」のTシャツは、スタッフTシャツとして大変良く機能していたと思います。
関数型まつり2025 Day 1が始まりました!
— 関数型まつり (@fp_matsuri) 2025年6月14日
タイムテーブルはこちらです#fp_matsurihttps://t.co/JMxWNSRM05 pic.twitter.com/lpebmZmyof
スタッフTシャツが届きました!
— 関数型まつり (@fp_matsuri) 2025年6月13日
当日イベントに関するお困りごと等がある場合は、こちらのTシャツを着ているスタッフに気軽にお声がけください。#fp_matsuri pic.twitter.com/jqiCh1lgmA
プリント方式
大まかに下記のものが候補に上がると思います。
シルクスクリーン
大吉祥寺.pm 2025 のはこれです。1色がメインで、せいぜい2〜3色までにとどめたほうが良いです。エッジが綺麗に出て、安価で、耐久力も比較的高いです。実は乾燥機は駄目です。

インクジェット
フルカラー印刷ができますが、生地に染み込みやすいので、くすんだ印象になりやすいです。Tシャツ用のプリンターを借りて、数枚だけ印刷するのとかには非常に便利です。
DTF
Hono Conference 2025のものはこれです。綺麗なフルカラーで印刷できます。これも実は乾燥機は駄目です。
ニコニコの@yusukebe さん#honoconf pic.twitter.com/GSfMQedJYU
— takumi (@1ye_q) 2025年10月18日
刺繍
正確にはプリントではありませんが、良く話題にあがるので。主にコストと納期が他のものに比べて重くなるのでやる際には事前準備が必要です。
また請けてくれるところによって糸の色や、同時に使える色の数が決まりますので、そのあたりも十分に調査してください。
生地
大吉祥寺.pm 2025、Hono Conference 2025ともに綿の5.6オンスです。
大吉祥寺.pmは暑い季節ではありましたが、基本的には屋内のため、空調が効いている前提で綿のものにしました。
大吉祥寺.pmは濃い色だったため、透けはあまり気にしなくて大丈夫でした。
Hono Conferenceに関しては、諸々の調整の結果、事前に透けや汗じみが気になる方は、各自で準備しましょうということになりました。事前にこういうおそれがあるかもということがわかっていると、透け対策だったり、汗じみ対策だったりを、インナー等々で出来たりすることもあるので、懸念点を共有した上で制作に入る、制作が先に走ってしまったあとでもちゃんと共有するみたいなことが重要と学びました。
発注タイミング
発注の時点で、生地、色、デザイン等は決まっていなければならないのですが、忘れがちなのが、サイズごとの数量です。
サイズの回答は、SlackやDiscordで送っても全員出揃うにはそれなりの時間がかかります。また、当日スタッフや登壇者のTシャツまで用意する場合には、Tシャツの発注タイミングまでに、その方たちの分のサイズまで回収し終えてなければなりません。
デザイン・版下づくり
Tシャツは、1つのデータを送って、Tシャツ屋さんの方で、さまざまなサイズに展開していただく形になります。
したがって、紙の版下づくりのように厳密な制御をこちらではできないことが多いです。
かなりざっくりとしたテンプレートを送っていただくことも多いので「Mサイズの際にこのあたりに、幅◯cmの大きさでロゴを入れてください。」というような補足を付けることもあります。
データは先方の機材にあわせてになるのですが、テンプレートに書き込んだものに加えて、元データーになるベクターデータも併せて送ることにしています。ラスターデータしかない場合は、先方に確認が必要ですが、300dpi程度は必要になると思います。
色はCMYKで送ることになると思いますが、お店によってはRGBで受け入れてくれる場合もあります。その場合は、色のイメージが異ならないかは要注意です。(CMYKにしても画面とプリントされたものでは全然違うので、もしお店が対応している場合はカラーガイドで認識合わせをするという手もあります。)
最後に
Tシャツをはじめとするツール類をみんなで作り…… それが実際に出来上がってくると、みんなで作ったカンファレンス・イベントという空気が醸成されます。
担当になる方は、たぶん意見集約等々で大変だとは思いますが、やりがいのあるパートだとも思いますので、ぜひ頑張って良いものに仕上げてください。